世界屠畜紀行

世界屠畜紀行

 

今回は、解放出版社の「世界屠畜紀行」をご紹介します。

 

ページ数:367p

寸法:19 x 13.6 x 3.2 cm

概要

 

こちらの本は、世界の屠畜文化や屠畜工程を著者が体当たり取材し、イラストと共に紹介しています。

本書で使われている屠畜とは、家畜等の動物を食肉に加工する工程のことです(屠殺という呼び方のほうがメジャーかもしれません)。

 

私たちは日々流通する食肉を日々食べ、命をつないでいますが、その作業内容についてはさほど詳しくありません。

また、生きた動物を殺し、食肉に加工するという行為に忌避感を覚える方もおられると思います。さらには差別につながることも。

家畜に対する向き合い方は、その信条や環境、宗教によっても様々だと思います。

本書は、韓国やエジプト、モロッコ、東京・沖縄など、日本を含めた世界中の屠畜場や家庭での屠畜作業の風景を、著者自身が見て歩き、現地の人にその作業に対する思いを聞くことで、その国での屠畜に対するとらえ方、感情を読み解こうとしています。

屠畜に対するネガティブなイメージ、特に屠畜業者への国民感情の考察は、本書における主要な論点の一つです。

 

時々著者の主観・感じ方に、自分とは考え方が違うなと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、様々な国で、様々な価値観から語られる屠畜は、普段考えない、「生きるために動物を殺し、食べる」ということについて考える機会を与えてくれます。

また、重くなりがちなテーマを、手書きのイラストと砕けた語り口調で、比較的気軽に読めるのも本書の良い点だと思います。

イラスト入りの屠畜工程は、国によって様々な理由から若干異なっており、興味深いです。

各国でトラブルに遭いながらも屠畜場を巡り、体当たり取材する著者の姿は読み物としても面白いので、興味のある方は手に取ってみてください。

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目次

 

第1章 韓国

 カラクトン市場の屠畜場

知らなかった白丁差別/韓国人は焼肉が好き?/牛の脊髄の味/カラクトンの屠畜場へ/電気ショックで叫ぶ豚

 マジャンドンで働く

ソウル最大の肉市場/韓国BSE騒動/マジャンドンで将来設計/結婚相手はエリートと/両班が編み出した宮廷料理/肉はたまに食べるだけ/恐るべし、モンゴル軍

 差別はあるのかないのか

差別は昔の話か/儒教と牛肉/牛を昇天させる「神の杖」/「今はない」ということば/朝鮮戦争で消えたなんて

 

第2章 バリ島

 憧れの豚の丸焼き

屠畜なぞ「朝飯前」/バリヒンドゥー教と牛/バビグリン屋の仕事/ココナツの殻で剃毛/油垂らして回る豚/黄金豚は朝焼けに輝く

 満月の寺院で見た生贄牛

どんどん豚へ着火/宗教タブーはあるけれど/「殺す」じゃなくて「切る」/祭りと生贄/トウリマカシ・バビ/命をもらう責任/東京のマンションで鶏をつぶす

 

第3章 エジプト

 カイロのラクダ屠畜

胎児に遭遇/神様がくれた仕事/中東にも豚がいた/公務員と肉屋

 ギザの大家族、羊を捌く

4階の部屋で「放牧」/エジプト人家庭の中で/血の手形は捌いた徴/兄嫁は頭料理が得意/異文化の溝を埋めるのは

 

第4章 イスラム世界

 イスラム教徒と犠牲祭

「怖い」の違い/シーア派の屠畜方法/そもそも犠牲祭とは/イスラム世界で暮らす日本人/犠牲祭は残酷か

 

第5章 チェコ

 屠畜と動物愛護

ヨゼフ・ラダが描いたザビヤチカ/社会主義と豚/「虐待リポート」番組/大規模屠畜場は残酷か

 ザビヤチカ・豊穣の肉祭り

ロスチャの腕前/はじめて知った豚のアレ/肉屋はお金持ち/資本主義社会で生き残るために

 

第6章 モンゴル

 草原に囲まれて

食べることは命をもらうこと/社会主義時代の遊牧民/凍った羊を背負って/草原が育てた感覚/とびきりの羊肉を世界へ

 モンゴル仏教と屠畜

羊を食わねば生きていけない土地で/殺生戒を超えて/転がる生首に驚きながら/羊は天からの贈り物/チャンサンマハは草原の香り

 

第7章 韓国の犬肉

 Dr.ドッグミートの挑戦

虐待に負けるな/ネットで犬肉を販売/抗議にも負けず、売上倍増/世界に名だたるDr.ドッグミート/犬肉のダイエット効果/モラン市場で食肉犬と対面/「犬白丁」ということば/滋養あふれる犬料理

 

第8章 豚の屠畜 東京・芝浦屠場

 肉は作られる

肉のジョーシキ/ストレスが味を落とす/頭の重み

 ラインに乗ってずんずん進め

種豚と去勢豚/と畜検査もまた重労働/ホッグマシンで皮を剥け/枝肉の完成

 それぞれの職人気質

ここに入ったら肉が食える/女性作業員に聞く/茶髪の職人魂/知らない奴にどう思われようが

 すご腕の仕事師世界

Hさんの修業時代/ショリショリとナイフ捌きが伝わって/「分け前」と「タダ働き」/今橋龍一さんの手技/「見て盗む」には早すぎる!/職人技と近代化の狭間で/屠場と差別

 

第9章 沖縄

 ヤギの魔力に魅せられて

家畜をつぶしておもてなし/豚がつなげるトイレと屠畜/ヤギ食にまで講義/甘くとろける睾丸の刺身/ヤギ屠畜は名護まで

 海でつながる食肉文化

皮も食べる沖縄の豚/豚をつぶす啼き声が食欲をそそる/犬も猫も食べた/舟に乗った家畜

 

第10章 豚の内臓・頭 東京・芝浦屠場

 豚の内臓と頭

ひとつながりの内臓から/赤モノと白モノ/食感にこだわる腸の仕上げ/頭捌きは丁寧かつ迅速に

 

第11章 革鞣し 東京・墨田

 革鞣しは1日にして成らず

豚革に惚れ込んで/まちの中は皮革工場がたくさん/原皮が運び込まれて来た/革が青くなる、クロム鞣し/染色は緻密に粘り強く/全身筋肉痛のハードワーク/脂から油へ/木下川という土地で

 

第12章 動物の立場から

 おサルの気持ち?

かわいそうと動物福祉/人間は肉を食べる生物である/動物の要求を知り、応える/感情はなくても情動はある/「丁寧に」食べる/決めるのは社会、つまり私たち

 

第13章 牛の屠畜 東京・芝浦屠場

 超高級和牛肉、芝浦に結集

食の安全を言うなら/屠畜頭数日本一/係留所からノッキングへ/気合と技術のピッシング/中身を肉につけない工夫/頭の行方

 枝肉ができるまで

自分の睫毛かと思ったら/重い牛を安全に吊るす/危険部位・脊髄をしっかり吸引/大型マシンで皮剥ぎ/内臓がもりもり出てくる/牛の人工授精最前線/枝肉の誕生

 BSE検査と屠畜

食肉衛生検査/BSE検査、はじめから終わりまで/スクリーニング検査でふるいにかける/陽性が出た場合

 

第14章 牛の内臓・頭 東京・芝浦屠場

 内臓業者の朝

内臓の熱気に包まれて/脂肪の中に渦巻く大腸/内臓にも番号をつけて/複雑多岐な白モノ処理/ほほ肉捌きにホレボレ/BSE検査に対応して/夜明け前から作業

 

第15章 インド

 ヒンドゥー教徒と犠牲祭

肉を忌避するヒンドゥー教徒/在日インド人と肉食論争/通訳はヒンドゥー教徒/牛の犠牲は禁止/着飾った羊の行く先は/祈りのことばとともに喉を切る/犠牲の羊はひっそりと

 さまよえる屠畜場

驚きの大屠畜場/8割が闇営業/貧乏ではないけれど/ガジプールへの移転/ゴミの丘のふもとに食べ物市場が!/IT大国に残る不浄観

 

第16章 アメリカ

 屠畜場ブルース

大嫌いな国、アメリカへ/大屠畜場見学ツァー/最低の仕事/屠畜工程の衛生対策/安い、早いの裏側で/やさしく殺して/カスタムキル-店の裏で捌く/今も健在、カウボーイ/数万頭規模での個体管理

 資本主義と牛肉

屠畜を英語で言うと/牛糞まみれ、太もも美人/一方、北部の消費者は/オーガニックビーフがある/貧者の肉

 

終章 屠畜紀行その後

ヤンさんとの再会/屠殺と屠畜の間で/獲物と死体

 

あとがき/主要参考文献一覧

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