今回は、農文協の「原色 雑草診断・防除事典」を
ご紹介します。
ページ数:592p
寸法:21.2 x 15 x 3.6 cm
出版社:農山漁村文化協会
刊行日:2014-06-23
概要
こちらの本は、農耕地の発生する雑草について、それぞれの写真、見分け方と、防除方法についてまとめてる事典です。
開花期・越冬期などの写真と解説がワンセットになっており、雑草探しとその防除を助けてくれます。
また、本の頭のほうに幼植物の実物大写真が載っており、早期発見・早期対処の手助けをしてくれます。
解説ページが併記してあるので、すぐに対処を調べることができます。
防除方法はインターネットで調べることもできますが、載っている内容の正確さに不安が残り、また、書籍だと現地で調べるのに便利です。
著者は農耕地の雑草識別・防除の専門家のお二人。
森田弘彦氏:農林水産省及び農研機関にて水稲栽培・シウ伝雑草の研究に従事し、2007年に秋田県立大学にて教授の職に。2016年に日本農学賞受賞。
浅井元朗氏:農林水産省にて、畑地雑草の研究に従事し、2014年時点で農研機構にて上級研究員として在籍中。
目次
本書は、水田雑草・畑地雑草について口絵部と解説部に分かれています。
- 〇 冒頭部
- はじめに
- 凡例
- 用語解説
- 幼植物検索:幼植物の実物大カラー写真から口絵・解説ページを索引可能
- 水田雑草
- 畑地雑草
- 〇 口絵部(紹介されている雑草の科名・名称はコチラにて)
- 水田雑草
- 広葉雑草
- カヤツリグサ科雑草
- イネ科雑草
- シダ類
- 緑藻類
- 畑地雑草
- 広葉雑草
- カヤツリグサ科雑草
- イネ科雑草
- シダ類
- 水田雑草
- 〇 解説部:項目は口絵部と同一
- 〇 資料 雑草防除の基礎知識
- (1)雑草とは何か
- (2)雑草の育成時期と繁殖生態
- 1)一年生雑草と多年生雑草
- 2)水生雑草、湿生雑草、乾生雑草
- 3)イネ科雑草、広葉雑草、カヤツリグサ科雑草
- 4)地域によって違う雑草の種類
- 5)外来(帰化)雑草
- (3)雑草害と防除適期
- 1)雑草害の種類
- 2)作物や栽培法で変わる雑草害
- 3)雑草の種類や密度で違う減収程度
- 4)除草必要期間と許容限界量
- (4)耕種的防除法の着眼点
- 1)発生源の埋土種子集団を減らす
- 種子の流入を防止
- 長期間埋没させ種子を死滅
- 中耕・培土で初期防除
- 2)田畑輪換による多年生雑草の繁殖器官の根絶
- 3)耕種的防除法の実際
- 狭畦栽培
- 制圧作物の導入
- 移植栽培
- 普通作と野菜作の組み合わせ
- 緑肥作物の作付け
- わら、ポリエチレンフィルム、紙などのマルチ
- 水田での深水栽培
- 4)機械的・物理的・生物的防除法
- 1)発生源の埋土種子集団を減らす
内容紹介
口絵部
口絵部では、その雑草の特徴がでている、葉、茎、穂などの部位や、生育初期、増殖期、出穂期などの時期のカラー写真が、1種につき3~8枚程度載っています。
解説部
解説部では、下記の事項が記載されています。
- 学名
- 英名
- 別名
- 分布
- 形態:葉・茎・花などの形状、大きさ・太さ、色、毛の有無など外観上の特徴の記述。
- 判定のポイント:顕著な特徴や似た品種と見分けるポイント。
- 生態:生育温度や繁殖方法・時期など。
- 発生しやすい条件
- 防除のポイント:防除方法や薬剤、時期など
- その他:注意点や豆知識など
資料部
巻末の資料として、雑草の基礎知識が記述されています。
一年草と多年草の違いから、雑草の地域性、さらには効果的な雑草の防除方法についての説明があります。
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紹介している雑草の種類
本書で取り扱っている水田雑草は80種、畑地雑草は115種です。
下記では、載っている雑草の科名、名称を紹介します。
水田雑草
- 広葉雑草
- アカバナ科:チョウジタデ
- アゼナ科:アゼトウガラシ、アゼナ、アメリカアゼナ
- アブラナ科:タネツケバナ
- オオバコ科:ウキアゼナ、ミズハコベ、アブノメ、オオアブノメ、キクモ
- キキョウ科:ミゾカクシ
- キク科:ヌマツルギク、アメリカセンダングサ、タウコギ、トキンソウ、タカサブロウ、コオニタビラコ
- キンポウゲ科:キツネノボタン、タガラシ
- シソ科:ヒメジソ
- セリ科:セリ
- タデ科:ミゾソバ、ヤナギタデ
- サギゴケ科:サギゴケ
- マメ科:クサネム
- ミソハギ科:キカシグサ、ヒメミソハギ、ホソバヒメミソハギ、ミズマツバ
- ミゾハコベ科:ミゾハコベ
- オモダカ科:サジオモダカ、ヘラオモダカ、アギナシ、ウリカワ、オモダカ
- サトイモ科:ウキクサ
- ツユクサ科:イボクサ
- ヒルムシロ科:ヒルムシロ
- ホシクサ科:ヒロハイヌノヒゲ、ホシクサ
- ミズアオイ科:アメリカコナギ、コナギ、ミズアオイ
- カヤツリグサ科雑草
- カヤツリグサ科:ウキヤガラ、コウキヤガラ、コゴメガヤツリ、ショクヨウガヤツリ、タマガヤツリ、ヒナガヤツリ、ミズガヤツリ、クログワイ、マツバイ、ヒデリコ、イヌホタルイ、シズイ、タイワンヤマイ
- イネ科雑草
- イネ科:ハイコヌカグサ、スズメノテッポウ、コブナグサ、カズノコグサ、イヌビエ、タイヌビエ、ヒメタイヌビエ、ヒメイヌビエ、オオニワホコリ、アシカキ、エゾノサヤヌカグサ、サヤヌカグサ、アゼガヤ、オオクサキビ、キシュウスズメノヒエ、ヨシ、ヌメリグサ、マコモ
- シダ類
- イノモトソウ科:ミズワラビ
- サンショウモ科:オオアカウキクサ、サンショウモ
- 緑藻類
- シオグサ科:フシマダラ
- ホシミドロ科:アオミドロ
- 表層剥離:表層剥離
畑地雑草
- 広葉雑草
- アオイ科:イチビ
- アカネ科:ヤエムグラ
- アゼナ科:ウリクサ
- アブラナ科:ハルザキヤマガラシ、ヒメアマナズナ、ナズナ、カラクサナズナ、クジラグサ、イヌガラシ、スカシタゴボウ、キレハイヌガラシ、コイヌガラシ、グンバイナズナ
- ウリ科:アレチウリ
- オオバコ科:オオバコ、オオイヌノフグリ
- サギゴケ科:トキワハゼ
- キョウチクトウ科:ガガイモ
- カタバミ科:カタバミ、ムラサキカタバミ
- キク科:ブタクサ、オオブタクサ、カミツレモドキ、ヨモギ、ヨメナ、アメリカセンダングサ、アワユキセンダングサ、トキンソウ、オオアレチノギク、ヒメムカシヨモギ、アメリカタカサブロウ、ハルジオン、ヒメジョオン、ハキダメギク、イワニガナ、アキノノゲシ、ハハコグサ、ノボロギク、セイタカアワダチソウ、オニノゲシ、オオオナモミ
- キンポウゲ科:トゲミノキツネノボタン
- アサ科:カナムグラ
- ザクロソウ科:ザクロソウ
- シソ科:ナギナタコウジョ、ホトケノザ
- スベリヒユ科:スベリヒユ
- タデ科:イヌタデ、オオイヌタデ、サナエタデ、ハルタデ、タニソバ、ママコノシリヌグイ、ミチヤナギ、ギシギシ、エゾノギシギシ、ヒメスイバ
- トウダイグサ科:エノキグサ、コニシキソウ
- ナス科:ヨウシュチョウセンアサガオ、ヒロハフウリンホオズキ、イヌホオズキ、ワルナスビ
- ナデシコ科:ノミノツヅリ、ミミナグサ、オランダミミナグサ、ツメクサ、コハコベ、ノミノフスマ
- バラ科:ヘビイチゴ
- ヒユ科:イヌビユ、ホナガイヌビユ、ホソアオゲイトウ、ハリビユ、シロザ、コアカザ、ゴウシュウアリタソウ
- ヒルガオ科:コヒルガオ、ヒルガオ、ネナシカズラ、アメリカアサガオ、ホシアサガオ、マメアサガオ、マルバルコウ、ノアサガオ
- フウロソウ科:アメリカフウロ
- ブドウ科:ヤブカラシ
- マメ科:ツルマメ、ヤハズソウ、カラスノエンドウ、ヤブツルアズキ
- ムラサキ科:ハナイバナ、キュウリグサ
- サトイモ科:カラスビシャク
- ツユクサ科:ツユクサ、マルバツユクサ
- カヤツリグサ科雑草
- カヤツリグサ科:カヤツリグサ、ショクヨウガヤツリ、ハマスゲ
- イネ科雑草
- イネ科:スズメノテッポウ、カラスムギ、カズノコグサ、メヒシバ、アキメヒシバ、イヌビエ、オヒシバ、シバムギ、チガヤ、ネズミムギ、ススキ、スズメノカタビラ、オオスズメノカタビラ、エノコログサ、ナギナタガヤ
- シダ類
- トクサ科:スギナ
最後に
本書は実用的な雑草診断・防除の事典です。
水田や畑での雑草の防除に一役買ってくれるでしょう。
個人的には「ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い)」や「ワルナスビ(悪茄子)」、「ノミノフスマ(蚤の衾)」といったちょっと変わった、けれど言いえて妙な名前の雑草を知ることができ嬉しかったです。
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