稲作革命SRI―飢餓・貧困・水不足から世界を救う

稲作革命SRI

 

今回は、日本経済新聞出版社の「稲作革命SRI―飢餓・貧困・水不足から世界を救う」をご紹介します。

 

ページ数:351p

寸法:21.4 x 15.2 x 2.4 cm

概要

 

こちらの本は、単収の増加や、低資源でできることから環境に優しいイネ栽培法SRIについて、その考え方や各国の事情に合わせた運用実態、普及状況、成果についての報告をまとめてある一冊です。

SRI(System of Rice Intensification、読み方:スリ)とは、コメが主食のマダガスカルで、コメの単収が伸び悩み、貧困が蔓延していた状況を見かねたロラニエ神父が発明したイネ栽培法です。

乳苗を使用して疎植、間断潅漑、雑草のこまめな除去などにより、稲のもつ本来の力を引き出すことで、コメの単収の増大を目指しています。

また、もともと貧困にあえぐ農家ために研究していた経緯から、肥料、農薬、水、種籾などの資源投入量をできるだけ減らす必要があり、その結果として低資源・低コスト、かつ、環境に優しいという特性も併せ持つようになったようです。

 

1章は、SRIの定義と問題提起がされています。

 

2章では、SRI誕生の歴史と、マダガスカルでの普及、さらに世界に広がりを見せることになった経緯が記述されています。主にロエニエ神父の話がメインとなります。

 

3~9章は、マダガスカル、インドネシア、カンボジア、インド、ラオス、ベトナム、ケニアなどのSRIでのイネ栽培がおこなわれている国について、概ね下記の事項が報告されています。

  • 人口や気候、経済状況などその国の特徴
  • 現状の稲作の状況とSRIが導入された経緯
  • SRIの実施状況、その国特有の事情による工夫・変更点など
  • 普及状況、増収の成果
  • 今後の課題

国ごとにある微妙な運用方法の違いには、国民性や慣行稲作の影響が現れており、興味深かいです。

 

10章では、SRIがなぜ単収の増加につながるのかについて考察がされています。

 

11章では、SRIの重要な要素である乳苗について、日本での研究・利用の歴史と、その性質、移植適期、生育について解説してあります。

 

12章では、水田を湛水にすることのメリット・デメリット、間断灌漑のメリットが紹介しています。また、農地から発生する温室効果ガスの違いについて、測定方法とともに解説しています。

 

13章では、現地での農学校による人材育成など、SRIの人的な普及への取り組みが紹介されています。またSRI普及の阻害要因について、農家から指摘された問題点を表で示しながら、考察しています。

 

14章は、日本での取り組み・研究事例と、試験栽培の結果が紹介されています。

取り組み・研究事例の部分では、散播直播、乳苗移植、稚苗移植の収量比較と、疎植について栽植密度を変えた際の収量変化について表で結果を載せています。

また、試験栽培については、灌漑方法(間断灌漑、湛水)、苗の日齢、一株本数、栽植感覚、施肥(化成肥、有機)などの条件を変えて試験栽培した結果を表にまとめています。

 

15章は、SRIと関りを持つ様々な方からの投稿が掲載されています。

 

各国でのSRIの実施事例が豊富に報告されていますので、SRIに興味のある方や導入しようか悩んでる方は、本書を読むと導入した際のメリット・デメリットや、作業イメージ、発生する問題点などがよくわかるかと思います。

なお、本書にもおおよそのSRIのルールについては記載がありますが、実際の導入マニュアルというわけではありません。

SRIの詳細な実施方法について日本語で書かれた書籍は見当たりませんでしたが、

本書の編者でもあるJ-SRI研究会のホームページにSRIのマニュアル情報が載っているようです。

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目次

 

まえがき

寄稿(1)SRI、その科学と運動 堀江武

寄稿(2)日本のSRIへの期待 ノーマン・トーマス・アポフ

本書を読むにあたって

第1章 SRIとはなにか?

第2章 SRIの誕生と普及

第3章 マダガスカルのSRI

第4章 インドネシアのSRI

第5章 カンボジアの天水田SRI

第6章 インドのSRI

第7章 ラオスのSRI

第8章 ベトナムのSRI

第9章 ケニアのSRI

第10章 SRIが拓く新たな稲研究

第11章 SRIの基礎・乳苗研究

第12章 SRIと土壌環境

第13章 人を育てる技術SRI

第14章 日本におけるSRIの意義

第15章 投稿「SRIと私」

  • 飢餓の時代への備えとしてのSRI 岩澤信夫
  • 小学生に夢を与えるバケツSRI 金谷富蔵
  • SRIを通じて社会貢献 貴島兼隆
  • SRIのちから 小林和彦
  • ライフワークとなったSRI 佐藤周一
  • 土壌物理学とSRI 溝口勝
  • フィリピンで出会ったSRI 宮里哲郎
  • 日本の農業の再生を夢見て 矢内英司
  • SRIとインドネシア農業の将来 イスワンディ・アナス
  • SRIとともに歩んだ10年 シャガラジャン
  • SRI-インドネシア農家の期待の星 ブディ・インドラ・セティアワン

 

  • あとがき
  • J-SRI研究会の紹介
  • SRI関連用語の解説
  • 索引

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