今回は、家の光協会の「農村版コミュニティ・ビジネスのすすめ―地域再活性化とJAの役割」をご紹介します。
ページ数:231p
寸法: 18.2 x 13.2 x 2 cm
出版社:家の光協会
刊行日:2008-05-01
概要
こちらの本は、
- 農村で行われている農業によるコミュニティ・ビジネスの国内外での事例の紹介
- その農村版コミュニティ・ビジネスを成功させるために必要な要素の考察
- 農村版コミュニティ・ビジネスを支援する組織に求められる考え方・動き
などにつき書かれている一冊です。
前半は農村での農業によるコミュニティ・ビジネスを成功に導くために主体となるコミュニティはどういった形態(組合やNPO、自治体など)やエリアスケール(町内会、小学校区、市、県など)を取るべきかの考察しています。
国内の農村版コミュニティ・ビジネスの事例紹介も出てきますが、手法の説明というよりは主体となるコミュニティの成り立ち・沿革がメインで語られているように感じます。
その他に、サブタイトルにもJA(農協)と入っていますが、発行元がJAグループ系列会社の(一社)家の光協会ということもあり、主軸としてはJAが農村版コミュニティ・ビジネスを支える立場として現在何をしているか、今後何ができるかという視点での考察が多いです。
後半は、2008年発行の本のためひと昔前の情報だとは思いますが、スイスのCSA※1、フランスのAOC制度※2、ドイツ・イタリアのグリーンツーリズムなど、海外の事例を生産量や販売価格なども交えながら解説しています。
アメリカで発祥しスイスで発展しているCSAの章では、日本でなかなか進まない地産地消発展、フランスのAOC制度の章では、認証制度による多様な規模の企業の共存共生の可能性、ドイツ・イタリアのグリーンツーリズムの章では、農村の観光資源化・商品化について詳しく書かれています。
- ※1 CSA(地域支援型農業):地産地消を促進し、地域の農家を支援するシステム
- ※2 AOC制度(統制原産地呼称制度):フランスの農業製品、フランスワイン、チーズ、バターなどに対して与えられる認証
海外事例は本の約半分を使って若干具体的な数字も出しながら解説してあり、個人的には後半を興味深く読ませていただきました。
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目次
第1章 農村版コミュニティ・ビジネスとは何か
- いまなぜコミュニティ・ビジネスか
- 未来へつなぐむらづくり
- フェアアインによる自発的な住民活動
- 多様な住民活動がむらを変える
- むらづくりをまちづくりにとけこませる
- コミュニティ・ビジネスとは何か
- コミュニティ・ビジネスの定義
- ローカル・コミュニティの重層性
- 農村版コミュニティ・ビジネスの領域
- インターミディアリー(中間支援組織)の重要性
- ヨーロッパの事例から学ぶために
- ローカル・コミュニティとテーマ・コミュニティの融合
- 消費者に支えられた農業と食品安全・環境保全
- 地域特産物のマーケティング
- ソフトツーリズムとしてのグリーンツーリズム
第2章 農業・農村はコミュニティ・ビジネスの宝庫
- コミュニティ・ビジネスの展開による社会システムの再活性化
- 社会システムの構図
- 機能的集団による社会システムの外延的拡大
- NPO型組織による社会的な問題の解決
- 地域自治組織によるまちづくり活動
- 地縁型自治組織とNPO型組織の協働と緊張・競合
- 地域自治組織によるまちづくり活動
- 地域自治組織と協同組合(JA)の関係づくり
- 地域自治組織による農村版コミュニティ・ビジネスの成立要件
- 地域自治組織等による農村版コミュニティ・ビジネスの展開
- ローカル・コミュニティのテーマ・コミュニティ化
- 地域自治組織=三重県四日市市・県地区まちづくり委員会の事例
- 地縁型自治組織の再編=広島県三次市作木町の事例
- 公益法人=三重県伊賀市・(社)大山田農林業公社の事例
- 集落営農組織=三重県松阪市・(農)コスモスの事例
- JAの組合員組織による農村版コミュニティ・ビジネスの展開
- 農村版コミュニティ・ビジネスの成功と失敗
- 農村版コミュニティ・ビジネスの経営資源
- (株)げんきの郷
- (株)南信州観光公社
- (有)小池手作り農産加工所
- (農)下條ふるさとうまい会
- 地域自治組織「共和の郷・おだ」
- 農村版コミュニティ・ビジネスの失敗要因
- JAによる中間支援機能の強化
- 協同組合の危機
- 組合員組織の弱体化
- やらされる協同活動からやりたい協同活動へ
- 機能・分野特化型支援と地域密着型支援
- 中間支援組織としてのJA福岡市の取り組み
- 中間支援組織の役割を発揮するための諸条件
- 土づくりをしないと、作物は育たない
第3章 野菜かごで結ぶ産消提携ースイスのCSAに学ぶー
- CSAとは何か
- CSAの源流とその背景
- CSAの概要
- CSAの展開過程―原点となった農場とアメリカから各国への波及―
- スイスのCSA
- スイスの有機農業と産消近接契約農業の展開
- スイスCSAの特徴
- コミュニティ志向
- CSAと産消提携
- CSAと産消提携との比較
- CSAと産消提携のとらえ方
- 日本におけるCSAの可能性
- コミュニティ・ビジネスとCSA
- 日本型CSAの必要性
- 非本型CSAの可能性
第4章 地域ブランドで発展する加工ビジネス―フランス・アルザスワインに学ぶ―
- 加工ビジネスに期待される効果と課題
- フランスのワイン産業とAOC制度
- フランスのワイン生産
- AOC制度の歴史と特徴
- アルザス地方におけるワイン産業の構造
- アルザス地方のワイン産業の展開
- ワイン産業の構造
- ワイン醸造業者の実態
- アルザス地方のワイン産業を支える地域組織
- INAO
- CIVA
- 農業会議所
- ワイン醸造協同組合
- そのほかの地域組織
- アルザス地方のワイン産業から学ぶ加工ビジネス振興の課題
第5章 農村ツーリズムの担い手たち―ドイツのPLENUMプロジェクトに学ぶ―
- 「未開発」な日本の農村
- 「業としての観光」の成立要件
- 観光産業の構成要素
- 「観光資源化」と「観光商品化」
- 観光資源をどうとらえるか
- 観光サービスの商品化
- 農村ツーリズム―定義と視点―
- グリーンツーリズム
- 農村ツーリズムの特徴
- ヨーロッパにおける観光資源化、商品化支援組織の事例
- バーデン・ヴュルテンベルク州のPLENUMプロジェクト
- コンスタンツ・モデルプロジェクト有限会社
- 中間支援組織としてのプロジェクト有限会社
- 観光資源開発・管理主体としてのコミュニティ・ビジネスへの期待
第6章 多様な担い手で発展する農家民宿―イタリアのアグリ・ツーリズモに学ぶ―
- 発展するイタリアのアグリ・ツーリズモ
- トスカーナ地方におけるアグリ・ツーリズモ
- 農家民宿A
- 農家民宿B
- 農家民宿C
- アグリ・ツーリズモにみるグリーンツーリズム振興の課題
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