今回は山形大学出版会の「どこかの畑の片すみで」を
ご紹介します。
ページ数:167p
寸法: 21 x 14.8 x 1.4 cm
出版社:山形大学出版会
刊行日:2007-10
概要
こちらの本は、山形県の在来作物を
データを交えて紹介・解説するとともに
地域にとっての在来作物の意義・重要さを
教えてくれます。
前置きとして、本の著者である山形在来作物研究会とは
山形大学農学部の教員の方々が発起人となって、
地域ぐるみで在来作物とそれに関わる産業、
さらにそれを取り巻く歴史・文化の保存・活用を
研究していく会だそうです。
そういった視点で語られていく本書は、
単に山形県だけではなく、他の地域の文化保存や振興にも
大変参考になる内容となっております。
内容紹介
本書は大きく分けで2部構成となっております。
1部は、具体例を挙げて、
- 在来作物とはなにか
- 山形県の在来作物の時代に伴う変化
- 収集、保存の意義、
- 地域の食文化と在来作物の関係
- 在来作物を生かし方
について、述べてあります。
最初の具体例としてカブの在来作物の種類、
栽培場所、関連する特有の食べ方の分布などが
地図で載っています。
次の具体例としては、
だだちゃ豆がピックアップされており、
品種ごとに収穫時期が表で示してあります。
さらに、収穫時期の違う品種のうまみ成分を
分析し、味の多様性がどのように保たれてきたか
考察がされています。
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2部は、やまがた在来作物辞典が載っています。
四季にわけて山形県の在来作物が45種類紹介されており、
それぞれ栽培されている農家の方への取材記事が
載っています。
野菜そのものや、調理した料理の写真も載っています。
特に料理の写真は、昔からの料理もありますが、
著者が考案した写真も載っており、
これがまた見た目がきれいで、とてもおいしそうです。
とくに「もってのほか」(食用菊)の記事は、
名前を聞いてびっくりし、名前の由来を聞いて感心し、
それを用いて考案された料理をみて食べたくなったりと、
とても面白かったです。
巻末には、より詳細な山形県の在来作物の
データが付録として載っております。
こちらの本は、メインは
山形県の在来作物について書いてありますが、
同時に在来作物を保存、活用していく意義も
唱っており、大変勉強になります。
近年、他の地域でも、在来作物を使って
地域振興をしているところはたくさんありますが、
体系立てて基礎調査をきちんとし、
目的をしっかり決めて活動し、
さらに書籍化までできている山形在来作物研究会は
一歩抜きんでているのではと感じました。
地域振興について考えていらっしゃる方は、
取っ掛かりとして読まれてみるとためになるかと思います。
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