今回は、栄光出版社の「兼農サラリーマンの力」を紹介します。
ページ数:187p
寸法: 19.2 x 13.4 x 2.2 cm
出版社:栄光出版社
刊行日:2013-06
概要
こちらの本は、日本の農業を支えている専業農家が高齢化で減少する中、農家以外の人たちが農業に広くかかわり、生活の中に農を取り入れることで、日本の農業を活性化するすべを提言しています。
著者は、神奈川県南足柄市で農業委員を務め、当地の農家減少・耕作放棄地の増加といった問題に取り組まれた古屋富雄氏。
その経験をもとに、南足柄市の実際の取り組みや便利な農業支援制度の説明も交え、これからの農ある生き方を語られています。
目次
本書は11章構成で、目次は下記の通り。
1章 イ農ベーション
- 「兼農サラリーマン」
2章 新たな農業参入システム(南足柄市新規就農基準と市民農業者制度)
- 「南足柄市新規就農基準」の概要について
- 「市民農業者制度」の概要について
- 農業をより身近なものにしたクラインガルテンとダーチャ
3章 南足柄市における新規就農者と市民農業者の紹介
- 有機自然農法を実践する新規就農者
- 会社に勤めながらイチジクを栽培する新規就農者
- 自給自足を目指す市民農業者
- 定年後みかん農家になった校長先生
- 主婦業・パート社員そして農業
4章 広がる南足柄市の農業参入システム
- 大阪府の「準農家制度」
- 福井県鯖江市の「新規就農促進支援システム」
5章 兼農サラリーマンは日本の農業そして農家を救う~農地の社会化
- 農業マイスターと南足柄市の農業参入システムの法制化
- 滞在型アパートメントによる「クラインガルテン」の提案
- 農地の社会化(パブリックフットパス~グリーンツーリズムへ)
6章 兼農サラリーマンにお勧めの農作物と栽培方法
- 手間いらずの極早生桃「ひめこなつ」
- 畑の管理は山菜まかせ
- 季節はずれのスイートコーン
7章 花の力~農業を通して思いついた事業
- 花トピア(あしがら花紀行とフラワーユートピア構想)
- フラワーフレンドリーシティー(花による都市交流)
- 卒業生を送る桜「春めき」
- 定年チェンジ・ファーマー
8章 日本の農業の現状について
- 進む農業者の高齢化
- 進む耕作放棄地(遊休農地)
- 進む食料自給率の低下
9章 農地の貸し借りについて
- 農地法と農業経営基盤強化促進法との貸し借りに伴う権利関係の違い
- 農業経営基盤強化促進法なら農家も安心して農地を貸してくれる
10章 新規就農者や市民農業者になるためには
- 新規就農者になるためにの「南足柄市新規就農基準」の申請手続きについて
- 市民農業者になるための「市民農業者制度」の申請手続きについて
終章
- 兼農サラリーマンとTPP
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内容紹介
本書は著者の南足柄市の農業委員としての経験をもとにして書かれているだけあって実際に南足柄市で農作物の特産品化に取り組んだお話から、海外視察した際に得た学ぶべきイギリス、ロシア、ドイツなどで実施している農業政策・制度、新規就農者増加のために有用な「農業経営基盤強化促進法」などについて述べられています。
特に2章では、他の自治体でも参考・導入された実用的な農業参入システムとそのシステムのもととなったドイツのクラインガルテン(市民農園)、ロシアのダーチャ(菜園つきセカンドハウス)が紹介されています。
4章では南足柄市の農業参入システムを参考に就農制度を策定した二つの自治体がその策定した制度とともに紹介されています。
最後に
著者の経験に基づく本書は、新規就農者の増加のための多くのアイデアを盛り込んでいます。
海外の農業システムを実際に日本国内で法制化するには日本の地域の特色に合わせた様々な知識・工夫が必要かと思います。
農業、特に農地に対する意識の違いは大きいのではないでしょうか。
そうして苦労して作った南足柄市の新規就農者支援制度を、本書は意図も含めて解説してくれています。
これから就農者増加に取り組まれる自治体・農業委員会の方もより実用的に制度策定のために、本書を活用されてみてはいかがでしょうか。
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