今回は、誠文堂新光社の「図解でよくわかる 土壌微生物のきほん」を
ご紹介します。
ページ数:159p
寸法:20.8 x 14.8 x 1.4 cm
出版社:誠文堂新光社
刊行日:2015-07-07
概要
こちらの本は、タイトル通り「土壌微生物」について教えてくれる本です。
同時に、
「農作物に適した土壌とは何か」
「土壌と微生物と農作物の関係」
「土壌微生物が土壌を作る仕組み」
といったことを、理論的、科学的に説明してくれます。
普段何気なく使っている肥料や農薬が、
どういった原理で農作物の栄養となり、病気を抑えているのかを
知ることができるのです。
さらに、こちらの本の良いところは、それらが農業の視点から
語られていることです。
植物の構造の話や、微生物が引き起こす化学反応の化学式、
微生物の学術名など、少し難しい話もでてきますが、
全体を通して、見開きの左側1ページが図や絵、表などになっており、
なるべく分かり易いよう配慮がされております。
目次
本は11章で構成されており、下記の通り。
- 土壌微生物とは何か?
- 土壌微生物の種類
- 自然界における土壌微生物の役割
- 有機物を必要とする土壌微生物
- 有機物を必要としない土壌微生物
- 根の周囲に生息する土壌微生物
- 根に寄生する土壌微生物
- 土の性質と土壌微生物
- 土を肥沃化する土壌動物
- 農耕地における土壌微生物
- 土壌微生物活用の最前線
内容紹介
1章 土壌微生物とは何か?
基本的な、微生物の進化の歴史、土壌に生息する菌類、放線菌微、細菌などの
生物の種類や分類、また、生育条件や増え方についての説明が、
図入りでしてあります。
2章 土壌微生物の種類
1章よりも、より細分化された、細菌、放線菌などの特徴や種類が絵や写真入りで
説明してあります。
3章 自然界における土壌微生物の役割
生態系と、その中での炭素、リン、窒素の流れの説明と、土壌微生物が
その流れにどうかかわっているかについて説明しています。
4章 有機物を必要とする土壌微生物
土壌中の有機物の、役割、分類、構造、及び、エネルギーを得る仕組みが
説明してあります。
5章 有機物を必要としない土壌微生物
有機物以外からエネルギーを得る微生物の役割、分類、構造、
及び、エネルギーを得る仕組みが説明してあります。
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6章 根の周囲に生息する土壌微生物
根の周囲(根圏)の土壌の構造、根の構造、及び、植物にとって有益な土壌微生物と
植物との共生関係について図や写真入りで説明しています。
7章 根に寄生する土壌微生物
農作物に寄生し、さらには土壌伝染性病害を引き起こす土壌微生物について、
病原菌の分類と病気の仕組み、写真付きでの症状の説明があります。
>8章 土の性質と土壌微生物
単なる土と土壌の関係、土壌の種類と豊かな土壌の条件について解説してあります。
9章 土を肥沃化する土壌動物
土壌を豊かにするミミズなどの土壌動物の種類や、特に優秀な土壌動物であるミミズの
生態、体の構造、土壌改良の仕組みについて説明してあります。
>10章 農耕地における土壌微生物
水田・畑での土壌と微生物の関係、連作障害の仕組み、肥料の土壌微生物への
影響などについて説明してあります。
11章 土壌微生物活用の最前線
土壌微生物の、医療やその他の分野での活用について軽く触れています。
最後に
以上のように、微生物の基礎知識、土壌中での働きなどについて
なるべく分かり易くなるよう説明してあります。
また、本書の冒頭に著者の方が、
「土壌の豊かさは、土壌微生物の多様性 ✖ 活性量で表される」と述べられています。
この本を読んだ後、そのことについて再び考えてみると、
農作物に一つの現象(収穫量の増加であったり、病気の発生であったり)が起こった時、
その背後にある原因を考える場合、単一の微生物や肥料で短絡的に判断するのではなく、
その微生物と反対の性質の微生物の働きや活性、水質、土質、気温の変化などの複数の視点から
見たデータを慎重に考察する必要があるのだということを感じさせられます。
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