今回は、築地書館の「農で起業する!-脱サラ農業のススメ」をご紹介します。
ページ数:249p
寸法:18.6 x 12.8 x 2.2 cm
出版社:築地書館
刊行日:2005-02-01
概要
こちらの本は、電気会社の研究職や外資系の営業職などサラリーマンとして歩んできた著者が、専業農家に転職し、サラリーマン時代の経験を活かした効率的な農業を開拓する道程が語られています。
プロローグでは外資系の営業職から脱サラして農業を始めようと思った動機から、農業経営が軌道にのるまでの奮闘を描いています。
営農地探しから、作る作物の決定、さらに本格始動し始めてからわかる問題などを、時に思い付きもありますが、サラリーマン時代にビジネスで培った計画性と合理化で乗り越えていきます。
このプロローグ、内容がこの本の重要な部分なので、プロローグと言いつつも本書の1/4くらいのボリュームを締めています。
つづく1章は、著者が実際に農業を営むにあたって目の当たりにした現在の農業の問題点と、それ等に対して農業をビジネスととらえる著者がどのように対処していったかについて語られています。
資材購入時の交渉事例でコストを意識することの必要性や、作物の抜き取り検査から作物重量と良・不良を紐づけして品質管理することで出荷可能量をあげた事例からデータ化・分析することの重要性を説いています。
2章は、日本の様々な農業事情について、著者の視点から問題点を考察しています。この章は農で起業という本書の趣旨からはやや離れているかかもしれません。
3章は、著者の農村ライフや、脱サラして都市部から来た人と農村の住民との感覚のズレを、著者の実体験を交えて語っています。
本書は、マニュアル本のように具体的なフローチャートや手法が書かれているものではなく、著者の体当たりの経験とその問題を解決する際のビジネス思考にふれることが主目的のように思います。
また、著者はブドウをメインとした観光農園の形態をとっているためか、葉物で良く用いられる多肥栽培についてやや否定的のように感じますが、農業をデータを用いて定量的にとらえようとする工夫は活用できるかと思います。
現在営農されている方で、もう少し合理化や発想の転換を図りたいという方にオススメの一冊です。
本書の著者の続編として、下記の本を出されています。興味のあるかたはチェックしてみてください。
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目次
プロローグ 脱サラ百姓のススメ
- ストレスで胃に穴があく前に転職を考える
- サクッと就農する
- 営農計画はじっくり立てる
- 賃料は労働で返して一石多鳥
- 週休4日のためには労働生産性を上げる
- 収益性を上げるテクニック
ビジネス感覚をつかむための必須用語解説~これだけは知っておこう
第1章 農業経営もビジネス‐こうすればうまくいく
- ニッポン農業の3大時代遅れ「肥料」「計測」「情報」を克服しろ
- 農協の指導には、ムリ、ムラ、ムダが多い
- 土づくりのムダ
- 経験を積まなくとも、農業はできる
- 農業は情報産業だ~週休4日を実現するためには時短!
- 農家につけ込む「ワラワラ詐欺」に注意!
- 楽しい農業の極意は「最適化農業」
第2章 ニッポンの農業事情
- 味とは関係ない、見た目のオリンピックと化した果物市場
- 消費者が守られていない本当の理由
- 有機農業についての誤解
- 農業の常識のウソ、ホント~産地モノには注意!
- 後継者について
第3章 理想のライフスタイルを手に入れた
- 毎日が土曜日!
- 農村でうまくやっていくには?
- 営農視察を有効活用する
- 農と自然をとりまく未来は
- あとがきに代えて~妻にとっての就農
- おわりに
- 巻末付録 就農の軌跡
- 参考書リスト
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